
著者は『橋田邦彦・現象学・アーレントの再解釈ー生活社会における公共性と倫理ー』(小取舎)の岩田直樹氏。
2024年は宇沢弘文の没後10年にあたります。
【本書概要】
世界の経済学を牽引し、「ノーベル経済学賞に最も近い日本人」と言われた鳥取県米子出身の宇沢弘文(1928-2014)は、1%の富裕層ではなく99%の「普通の人々」のために新しい経済学を構想した。独創的な「社会的共通資本」論は、従来、経済学の「内」で議論されていた。
第一部では、宇沢の生涯と思想を概観し、経済学の「外」へ地平が拡がる独創的な「社会的共通資本」論を再解釈する。
第二部では、同時代人であった丸山眞男、アーレントら6人の思想・哲学と宇沢思想の通奏低音である「『あいだ』の哲学」を論じる。
【著者より】
宇沢についての本は、岩波書店で宇沢担当の編集者だった大塚信一の『宇沢弘文のメッセージ』と、宇沢と親しかった元日経記者の佐々木実『資本主義と闘った男』とそのダイジェスト版『今を生きる思想 宇沢弘文』の3冊しかありません。
大塚の本は、宇沢の著作を編集した思い出話が中心で、佐々木の本は経済記者らしく経済学界の話の比重が高くなっています。
拙論では、宇沢の生涯、業績、関連する思想を簡潔に書き、宇沢のことを知るのには手頃な内容にしました。